遠い昔の、記憶の中の風景
縁側にじいちゃんがいる。
そこは、茶の間からじいちゃんの部屋へとつながる縁側の廊下だ。
今はリフォームをしてしまって、その縁側はないし、じいちゃんもいない。
だけど、じいちゃんと僕がいる。
記憶の中のその日は、とても晴れていて、暖かい日差しが差し込んでいる。
それは昭和60年頃の光景だ。
色は薄いブラウンで、明るくて、少し古びた写真のようだ。
何をしているのかはわからないけど、じいちゃんと僕がいる。
そして、じいちゃんはニコニコしている。
じいちゃんのことを思い出すと、なぜか怖い顔が浮かぶ。
でも、よーくよーく記憶を探ると、とても優しい顔で僕を見て微笑んでいる。
その顔を思い出すと、なんだか胸がポーッとあたたかくなる。
じいちゃんのおかげで、記憶の中の僕は孤独じゃない。
だって、優しい笑顔のじいちゃんが隣にいるから。
モノクロの世界に、鮮やかに浮かび上がる蜜柑。/『蜜柑』芥川龍之介
芥川龍之介の『蜜柑』という短編小説を読んだ。
読んでいるうちに、どうやら以前読んだことがあることに気づいた。
買って読んだのか、教科書で読んだのかは記憶にない。
ただ、読んでよかった。
どういう話かというと、主人公の「私」が汽車に乗り発車を待っていると、十四五の小娘が前に座った。
「私」は最初はその小娘に不快感を感じていたが、小娘のある行動・光景を目にした「私」の心情に変化が現れる、という話です。
この話は大きく前半と後半に分かれる。
前半は、駅のシーンから始まる。
「私」がいいようのない疲労と倦怠を感じながら、汽車に乗り発車を待っていると、まもなく発車という時に小娘が駆け込んできて「私」の前に座った。
その小娘はいかにも田舎者くさく、汚い身なりをしていて、その時の「私」の心情と重なり不快に感じていた。
この部分を読んで、「私」に何があったのかは知らないが、疲労や倦怠で機嫌が悪いとは言え、なんて上から目線で、人を見た目で判断する失礼な男なんだと腹立たしく思った。
しかし後半になると、小娘が汽車の窓を開け、田んぼの真ん中で見送りに来ている子供達の頭上に蜜柑を放り投げるシーンがある。
その光景を見た「私」は、小娘の身の上の一切のことを了解し、その後の小娘を見る目がまったく変わった。
このシーンを読んだとき、紙と文字の白黒の世界に、蜜柑のオレンジ色だけが鮮やかに脳裏に浮かび上がってきた。
そしてそれ以降、物語すべてに色彩が帯びた。
自分は、人を見た目や先入観、その時の機嫌などで判断してしまうことはないか。
残念ながら、ないとは言えない。
つい自己中心的な振る舞いをしてしまうことがある。
なので、この話の「私」のことは、決して他人事ではない。
人にはそれぞれの事情がある。
そういったことを少しでも思いやれる人間でありたいと思う。
そう気づけただけでも、この芥川龍之介の『蜜柑』を読んでよかった。
Oxford Reading Treeを読み終えて。
英語で本が読めるようになりたくて、いろいろなところで勧められている「多読」というものをやってみようと、「Oxford Reading Tree(以下、ORT)」というイギリスの小学校の国語(イギリスの国語はもちろん英語)の教科書として使われている本を読んでみることにした。
この本はレベルが分かれていて、僕はだいたい真ん中あたりのStage 5から始め、Stage 9までのStoriesとMore Storiesなど、合わせて84冊を大人買いした。
そして、全部読み終えたので、感想を書こうと思います。
全体的な感想
まず全体的な感想は、まずはやっぱり「全部読んだどーーー!」っていう達成感がデカイですね。
本棚に並べてありますが、英語で書かれた本をこんなに読んだんだなあと感慨深いものがあります。
Stage 5などは文字数も少なく、簡単な文法や単語で書かれているので、確かに読みやすかったです。
そうやって英語を読むことに慣れながら、徐々にレベルを上げて進めていけるので、このやり方はよかったと思います。
しかし、正直これだけで洋書が読めるようになるとは思いません。
でも、今後どうしていけばよいかを見つけることはできました。
後半で説明します。
映像のような感覚
ORTを読み進めていくうちに、登場人物にもどんどん親しみが出てきて、好きなキャラクターなどもでき、楽しく読み進めることができました。
ほとんど1話完結なので、たくさんのストーリーがあり、その中でも自分が好きな話や、あんまり興味が持てない話などもありました。
僕は、追いつ追われつの、ハラハラドキドキものが好きでした。
気がつくとどんどんページをめくっていた、なんてこともありました。
その時は英文を読んでいるという感じではなく、映画のような映像を見ているような感覚でした。
逆にあんまり面白くない話は頭の中で映像化しにくかった気がします。
そういう意味で、興味がある簡単な本をたくさん読む「多読」がオススメされている理由がわかったような気がしました。
だけど・・・
いくら読みやすいとは言え、学生時代にほとんど勉強しなかった僕には、やっぱりわからない単語や、なんて書いてあるのかわからないところもポツポツありました。
以前にも英語にチャレンジしたことがあり、その時にシス単という単語帳をやっっていたことが役に立ちました。
「あ、これシス単に乗ってた単語だ!」
なんてのもたくさんありました。
やっぱり基本は大事
なので本当にゼロからの人は、簡単な単語帳でも一冊やっておいた方がいいと思います。
それと、やっぱり中学レベルの文法もした方がいいと感じました。
いくら多読をすると英文が読めるようになるとは言え、わからない英文を読んでも無意味で、まったく楽しくないので続かないです。
そんな勉強したくないから多読で読めるようになりたいんだ!
と思う人もいるかもしれません。
しかし、最低限中学ベルの文法と単語は押さえておくと、これから先も読みやすさが断然変わってくるので、楽しく続けることができると思います。
まあ、これは人それぞれの考え方なんで、必要だと思った時にやればいいと思います。
これからは
僕はORTの多読をして、「なるほど。やはり中学レベルの学習が必要だな」と実感したので、急がば回れで、まずはそこをマスターしようかと思います。
ということで、中学1年のドリルをしてみたところ、さすがにこのレベルはほとんど正解できたので(イージーミスは何個かあったが・・・)、まずは中学2年からやっていくことにしました。
「やさしく、たくさん」という本があります。
この本では、NHKラジオ講座と教科書ガイドをオススメされていたのですが、ラジオ講座はもう半年以上過ぎてしまっているので、教科書ガイドから始めてみます。
実はすでに少し進めてるんですが、これが思いのほか楽しいんです。
一般の参考書などは、ただ例文だけで文法を学んでいくみたいなところがありますが、教科書ガイドでは、つながりのあるストーリーの中で学べるので楽しいです。
日本語訳や文法解説もあるので、すごくやりやすくオススメです。
本当に中学生に返ったかのように、素直に学んでいきたいと思います。
そして、どんどん読んでいきたい。
まずは簡単なものから。
ああ楽しみだ。
【英語多読】Oxford Reading Tree : Stage 9 : More Stories A の感想
ついに。
ついにです。
ついに最後のストーリーズです!
読みたいような、読みたくないような…
でも、読みまーす!
Oxford Reading Tree : Stage 9 : More Stories A
6話パック!
やり方はこちらをご覧ください。
- The Blue Eye(1,226語)
- Rescue!(1,308語)
- Dotch Adventure(1,369語)
- The Finest in the Land(1275語)
- The Flying Machine(1,278語)
- Key Trouble(1,278語)
- 読み終えて
- 語数カウント
The Blue Eye(1,226語)
前にも言いましたが、やっぱり語数が増えると内容も濃くなって、すごく面白く楽しめます。
マジックキーで連れていかれた先で、アイーシャという女性が何者かに追われている。アイーシャは王女らしく、ブルーアイといわれる青い石が盗まれ、それがないとアイーシャは女王になれないために取り戻しに来て、それで追われているようだ。
その追っ手から逃げるシーンがすごくハラハラドキドキで、気づいたらどんどんページをめくっていた。面白かった。
Rescue!(1,308語)
ビフとウィルフがシャボン玉で遊んでいると、マジックキーで新たな冒険に連れていかれた。その先で前回登場したアイーシャにまた出会った。一度冒険が終わって家に帰り、また別の冒険で同じ世界に行くっていうのは初めてだ。
アイーシャの妹が誘拐され、助けにいき、また追いかけられて逃げる。ハラドキ。
どうやら僕はこういう話が好きなようだ。面白かった。
"You'll think of something."
読んだ人にはわかるキーワード。
Dotch Adventure(1,369語)
チップとビフはマジックキーで昔のオランダに連れていかれた。
そこでハンスという名の少年と出会った。ハンスは市場までチーズを売りに行く途中で、チップたちはハンスの荷車に乗せてもらった。その荷馬車は古く、走っている途中で車輪が壊れてしまい、荷台のチーズが地面に落ちてしまった。ちょうどその時に自転車が横を通り抜けていて、ぶつかり、自転車のカゴに入っていたチーズも落ちてゴチャゴチャになってしまった。自転車の男は怒ったが、ハンスは全部同じチーズだからどれでも持って行っていいと言った。しかし、自転車の男は必死に自分のチーズを探した。
なぜなのか。それは、読んでみてください。
The Finest in the Land(1275語)
この話はてっきり音楽の話かと思ったが、まさかの恋愛ものだった。
キッパーの6歳の誕生日を祝うために子供たちはバンドを結成し、ハッピーバースデーの曲を演奏することにした。そして、練習していたらマジックキーが光だし、中世の昔に連れていかれた。そこで芸事を練習している芸人たちと出会った。しかしその芸人たちは下手くそだった。なにかおかしい気がした。それもそのはず。彼らは本当の芸人ではなく、ほかの目的があったのだ・・・。
The Flying Machine(1,278語)
今回はナディムとアニーナだけがマジックキーで冒険に連れていかれる。
その先では、ある双子の兄弟が初めて飛ぶ機械で空を飛んだ人になるために実験をしていた。
しかしその飛行機はまったく飛ばず、それどころか前にすら進まない。そこで、アニーナとナディムがアドバイスをすると猛スピードで動き出し、傾斜を使って少し飛び上がったが、すぐに真っ逆さまに落ち、それでも止まらずに暴走し出した。
一体どうなるのか。双子は初めての空を飛んだ人になれるのか。
だが、歴史を知っている人にはわかるはず。ある兄弟がいたことを・・・。
Key Trouble(1,278語)
グランがキッパーたちの家に泊りにきた。グランは古い写真を持ってきていた。それはママが小さかった頃の写真と、グランが小さかった頃の写真だ。
グランの子供の頃の写真は灰色だった。
キッパーがテレビをつけると古い映画が映った。それも灰色だった。
キッパーはビフを探しに部屋へ行ったが、いなかった。するとマジックキーが光り出した。
魔法はキッパーを灰色の世界へ連れて行った。そこテレビと同じで全てが灰色だった。キッパーはこんな灰色の世界は嫌いだったので帰りたくなり、マジックキーをバンと叩きつけた。すると魔法がキッパーを家へ連れて帰った。
しかし、何かおかしかった。
なんとキッパーは古い写真のように灰色になっていた・・・。
読み終えて
ついに終わりました。
全話(ステージ5から9までですが)読破です。
文字数が多くなるに連れて少し難しくなりますが、その分、読み応えが出てきて楽しめます。
全部読み終えての感想は、また別に書きたいと思います。
名残惜しいですが、これで一旦終了です。
すごく面白く、勉強になりました!
語数カウント
今回の語数は、1,226+1,308+1,369+1,275+1,278+1,278=7,734
各話3回ずつ読んだので、
7,734×3=23,202
累計 82冊 226,083語
さあ、次の、新しい物語へ!
”What an adventure!"
【英語多読】Oxford Reading Tree : Stage 9 : Stories の感想
ついにStage 9 まで来ました!ゴールはもう間近です!
こちらも6冊パックです。
やり方がこちらを参照ください。
- Green Island(1,446語)
- Storm Castle(1,386語)
- Superdog(1,490語)
- The Litter Queen(1,452語)
- The Quest(1,507語)
- Survival Adventure(1,468語)
- 読み終えて
- 語数カウント
Green Island(1,446語)
子供たちは一週間の校外授業で、海の近くにある「シーベイハウス」という大きな建物に行った。そこで地図を見ながら散歩をしたり、食事の後の皿洗いや、浜辺で生息する生き物の観察をしたりした。
チップとアニーなが羽に脂がついて飛べないカモメを見つけて、ハニーおばさんのところへ連れて行って助けてあげた。ハニーおばさんのところには色々な動物の面倒をみていた。その中には怪我をしたラッコがいて、もう良くなってきたから放してやることにした。
ラッコをグリーンランドと呼ばれる島に放しに行くのに、子供たちもついて行った。
ラッコを放した後グリーンランドを探検していると、洞穴のところにドラム缶が捨てられていた。そのドラム缶には有毒なゴミが詰まっている。
いったい誰がこんなところに捨てたんだ。このままでは野生の動物にたくさんの害を与えてしまうかもしれない。
そこに一隻のボートが島に近づいてきた。いったい何者だ。何しに来たのか・・・。
Storm Castle(1,386語)
ナディムは、両親が遠くまで出かけなくてはいけないのでチップたちの家に泊まりに来た。ナディムはたくさんの荷物を持って来ていて、その中には新しいコンピュータゲームがあった。そのゲームの名前は「嵐城」といった。
みんなが嵐城のゲームをしていると、マジックキーが光りだし、新しい冒険へと連れて行かれた。チップはこの冒険がどこに連れて行くのかだいたい予想がついた。
その予想通り、子供たちは嵐城の世界へと連れて行かれた。しかしそこにはナディムだけがいなかった・・・
Superdog(1,490語)
フロッピーが大活躍!めちゃめちゃ面白かった!これはぜひとも読んでほしい一冊です!
現実では年をとっていて寝てばかりいるフロッピー。子供たちが出かけて、ビフの部屋で寝ていたフロッピーが、マジックキーで冒険に連れて行かれた。
その先で起こる数々のトラブルを見事に解決するフロッピー。新聞にも載り、町中の人気者になった。でも、それはマジックアドベンチャーの中での話・・・。
The Litter Queen(1,452語)
ゴミ問題の話です。
子供たちはウィルフとウィルマの父母にホワイト・ホース・ヒルという丘にピクニックに連れて行った。そこで遊んでいると、フロッピーが捨てられた割れたびんで足を怪我してしまいました。
帰り道、チキンとチップスを買って食べ、ゴミを捨てようとしたが、ゴミ箱が一つしかなく、それもいっぱいだったので、チップは自分のゴミを地面に捨てた。
その夜、チップがベッドで寝ようとしていると、マジックキーが光り出した。連れて行かれた先はゴミの女王の宮殿だった。そしてそこで仕事が与えられた。
その仕事とは、ゴミをそこら中にばらまくということだった・・・。
The Quest(1,507語)
ウィルマはクエストの物語を書いていた。クエストとは「失われたものを探すための旅」という意味だ。ウィルマはビフにその物語を読んで聞かせた。
昔々、遥か彼方にウルムという美しい国があり、そこには美しい水晶の鈴があった。しかしグリムロックという邪悪な男がその鈴を持って行ってしまったのです。するとウルムの国は灰色になり、花は死に、夏に雪が降るようになってしまいました。
ウィルマはここまで書いて、続きを考えていた。
そして、ビフは歯医者に行かなければいけなく、ウィルマは残って続きを考えていると、マジックキーが光り出し、ウィルマはその物語の中に連れて行かれた。
ウィルフの水晶の鈴を探す旅(クエスト)が始まった・・・
Survival Adventure(1,468語)
チプとビフとウィルフは、チップの家の庭にテントを張り、今日はそこで寝るつもりだった。しかし雨が降ってきたので部屋に入りキャンプの続きをしていた。するとマジックキーが光り出し、本当のサバイバル・アドベンチャーに連れていかれた。
そこでエイミーという女の子と、リトル・フォックスという男の子に出会った。二人とも道に迷ったらしかった。子供たちは森の中で簡易テントを作り、夜が明けるのを待つことにした。するとそこに何やら人影が子供たちを包囲していた・・・
読み終えて
文字数が増えると、物語も読み応えが出てきて、すごく楽しめる話が多かった。
心なしか、スラスラとまではいかないけど、普通に読んで内容を理解できるようになっている気がする。
語数カウント
今回の語数は、1,446+1,386+1,490+1,452+1,507+1,468=8,749
各話3回ずつ読んだので、
8,749×3=26,247
累計 76冊 202,881語
さあ、次の物語へ!
"What an adoventure!"