アンチからファンに / 村上春樹『風の歌を聴け』
村上春樹。ハルキストと呼ばれる熱烈なファンとアンチ、賛否両論分かれる作家ですね。人気者は得てしてそう言うものなのだろう。
僕はどちらかと言えばアンチ寄りでした。
過去に何作か読んだことがありますが、正直、世間がそんなに騒ぐほど面白いとは思いませんでした。
しかし、時は経ち、『風の歌を聴け』を読んで、その評価は一変した。
『風の歌を聴け』は、1979年に出版された、村上春樹のデビュー作。
1970年の夏、海辺の街に帰省した〈僕〉は、友人の〈鼠〉とビールを飲み、介抱した女の子と親しくなって、退屈な時を送る。二人それぞれの愛の屈託をさりげなく受けとめてやるうちに、〈僕〉の夏はものうく、ほろ苦く過ぎさっていく。青春の一片を乾いた軽快なタッチで捉えた出色のデビュー作。群像新人賞受賞。
なぜ、アンチの僕がこの本を手に取ったか。それは、とある正月休みのこと、何も予定がなく退屈だったので、本でも読みまくろうかなと本屋に行き、何を読もうか探していた。
この本は、160ページと薄かったので、読むスピードがそれほど早くない僕でもサッと読めそうで、勢いがつきそうだし読んでみようかなと思ったのがきっかけでした。
そして、その夜、一気読みしました。
なんとも言えない読後感。
面白いと言うより、気怠さの中にも、どこかさっぱりしていて心地がいい感じがした。
「俺もあんまり力まず生きよう」と思う反面、なぜかやる気が出てくる。そんな不思議な感じでした。
すごく中毒性のある文章で、追いかけたくなる気持ちがわかりました。
むかし読んだ時は、まだ若かったから気づかなかっただけでした。
この作品で見事にハルキストになった僕は、その後、多くの村上作品を読んでいくこととなります。
他の作品については、おいおい書いていきたいと思います。
ぜひ、読んでみてください!