漱石との約束 ／ 夏目漱石『こころ』

1度目は見事に挫折。

司馬遼太郎の『竜馬がゆく』を全巻読破したので、次に手を出したのが、夏目漱石の『こころ』でした。

さすがに無謀でした。調子乗ってたんですねー。

案の定、まだ早かったです・・・。

文章が難しくて読みづらい。頑張って読んでも全然進まない。

それでもちょっとずつ読みました。でも・・・

挫折。

もっと読みやすいのからたくさん読んで、体力つけてから再会することを約束し、

そっと本を閉じました。

そして、再会の日。

約束の日から15年が経ちました。

初めての挫折を経験したが、本を嫌いになることもなく、順調にいろいろな本を読んできました。

正直、漱石との約束も忘れていました。

僕も経験を積むうちに、徐々に文豪と呼ばれる人たちに興味を持ち始めました。そして、思い出しました。

今ならあの約束を果たせるかも・・・。

僕は本屋に行き、漱石の棚から『こころ』を取り出し、パラパラとめくってみました。

すると、あの時の記憶が蘇る。

まだ無理かも・・・と弱気な自分が顔を出しました。

でも、あれから僕も経験を積み、少しだが自信も芽生えてたので、まずは漱石の中でも薄めの本から読んでみることにしました。すると、

読める！読めるぞーー！

時は来たれり。

漱石先生、あの時の約束を果たしますぞ！

その時は訪れた。

やっとです。やっと全てを読みました。

とても面白かった。いや。面白いと言うより、物凄く衝撃を受けました。

若かりし頃の先生（登場人物）の気持ちがすごくわかる。

僕の心の奥底にある、誰にも知られたくないドロドロとした心の内を見透かされているような気がしました。

この本は、もし15年前の若造が読めていたとしてもピンとこなかったかもしれません。

酸いも甘いも経験してきた今だからこそ共感できたのかもしれません。

夏目漱石の『こころ』

ぜひ一度は読んでみてほしい作品です。