宮崎駿をつくったもの
宮崎駿。
言わずと知れた、日本アニメ界の巨匠。
スタジオジブリで数多くの作品を世に送り出してきた。
彼の作品を一度は目にしたことがある人は多いだろう。
そんな宮崎駿はどのようにしてつくられたか。
どんな本を読み、何を感じてきたのか。
それが書いてある本がある。
『本へのとびら ー 岩波少年文庫を語る』という本だ。
この本には、第一部で宮崎駿自身が選んだ、岩波少年文庫の50冊が短いコメント付きで紹介されている。
そして第二部では、本との出逢いや、どういう本を読んできたか、どのように映画に生かされているか、子どもたちへのエールなどが書かれている。
この本のなかで、宮崎駿はドストエフスキーを読んでこう言っている。
僕は大人の小説には向いていない人間だということを思い知らされました。何でこんな残酷なものを人は読めるのだろう、と疑問に思ってしまってね。児童文学のほうがずっと気質に合うんです。
子供から大人までが魅了される作品を作ることができるのは、こういう清らかな心をもっているからなんでしょう。
それからは小説やベストセラーの類はまったく読まなくなったそうです。
ほんとうを言うと、本はいっぱいは要らない、五十冊じゃなくて、一冊あればいいとも思っているんです。
と、第一部で五十冊をおすすめしておきながら、一冊でいいと言っています。
しかしこれは、もしそういう本ができたらと言う話です。
「世界のことが全部書いてある、もっと楽しめる本を夢見ている」と言うことです。
そんな本ができたら僕も読んでみたいですね。
最後に、子どもたちへのエールとして、こう言っています。
本を読むから考えが深くなる、なんていうことはあまり考えなくてもいいんじゃないでしょうか。本を読むと立派になるかというとそんなことはないですからね。読書というのは、どういう効果があるかということではないですから。それよりも、子どものときに、自分にとってやっぱりこれだという、とても大事な一冊にめぐり逢うことのほうが大切だと思いますね。
これは子どもだけではなく、大人、というか、自分にとっても胸に刻みたい言葉です。
確かに子どもの頃にそういう大切な本に出逢えると素晴らしいんでしょう。
僕は20代半ばから読書を始めたので、子供の頃の読書経験がほとんどありません。
それはもうどうしようもないことなので、今からでもそういう大切な本に出逢えたらいいなと思います。
ただ、カチコチに凝り固まったおじさんの頭でも楽しめるのかどうかは疑問ですが…。
これを機に、宮崎駿おすすめの五十冊の中から、試しに何冊か読んでみようと思います。
大切な本に出逢えることを夢みて。