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平穏な世の中のための必要悪なんてあるのだろうか。/ 星新一『ボッコちゃん』「生活維持省」

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星新一は日本SF界のパイオニアで、多くのショートショートと呼ばれる作品を世に残してきた。ユニークでユーモアに溢れているが、少し怖く、ドキッとさせられるところもある。

 

僕が初めて星新一の本を読んだのが、この『ボッコちゃん』という作品です。

自選のショートショートが50話収録されています。

 

1話1話が短いので、寝る前に1話だけとか、休み時間や仕事の合間、ちょっとした空き時間、通勤電車の中で読むのにちょうどいいです。

 

面白い話ばかりで、全部あげたらきりがないので、その中でも強烈に印象に残っている「生活維持省」という作品を紹介します。

 

 

この話の舞台は未来の地球のどこかの国。

 

最初は、のどかでほのぼのした、現代となんら変わらないような場面から始まる。

生活維持省の役人の二人が外回りに出かける。

 

その仕事内容とは・・・

 

ちょっと怖くて悲しい話です。

 

人口増加による環境破壊。

 

それを防ぐため、政府の方針で、国民一人あたりに充分な広さの土地を確保しなければならなくなった。

そのおかげで、すべての悪がなくなり、社会は平穏になり、自殺なんかするやつもいなくなった。

 

たった一つの悪を除いては。

 

それは必要悪なんだろうか。

 

それで国民は本当に幸せになれるのだろうか。

 

考えさせらせる話でした。

 

その他の話も、ただ面白いだけじゃなく、読んだ後に考えさせられる話が多いです。

夢のある話もあります。

 

星新一の『ボッコちゃん』

ぜひ読んでみてください!