読むことをおすすめしない読書法?!
僕は読書デビューが遅かったので、少しでも効率的に本を読みたい。なるべく速く、たくさん読みたい。なので本の読みかたの本をよく読みます。
読書法の本をいろいろ読んでいると、多くはだいたい同じようなことが書いてあります。
その中でも、少し毛色が違う異色な本を今日は紹介します。
ショーペンハウエルとは
ショーペンハウエルは、19世紀のドイツの哲学者・文章家です。
仏教精神そのものといえる思想と、インド哲学の神髄を明晰に語り尽くした思想家であり、その哲学は多くの哲学者、芸術家、作家に重要な影響を与え、生の哲学、実存主義の先駆とみることもできる。
引用:Wikipedia
本の内容
この本の原書が書かれたのが1851年と、かなり昔ですが、現代でも当てはまることが多く驚きます。
以下の三遍で構成されています。
- 思索
- 著作と文体
- 読書について
それでは、僕が印象に残ったことをご紹介します。
読むより考える
「我々が徹底的に考えることができるのは自分で知っていることだけである。知るためには学ぶべきである。」と1ページ目からエンジン全開です。
そして、ショーペンハウエルは読書と思索はまったくの別物だと言います。
「読書は思索の代用品にすぎない」「読書は他人の頭で考えることであり、思索にとって有害でしかない」と言っています。かなり厳しいことを言いますね。
「読書は他人に物を考えてもらうことである。他人の考えを反復的にたどるにすぎない」
さらに多読についても警笛を鳴らしています。
「多読ばかりすると、しだいに自分で物を考える力を失って行く」「絶えず読むだけで、読んだことを後でさらに考えてみなければ、多くは失われてしまう」
読書をすると知ったつもりになるだけで、自分の頭で考えなければ身にならないということでしょうか。
確かに読んだことで満足して、次、次と面白そうな本に手を伸ばしてしまっています。
「読むよりも、考えろ」
てことですね。
ここで、わかりやすい例え話が書いてあるので、長いですが引用します。
読書で生涯をすごし、さまざまな本から知恵をくみとった人は、旅行案内書を幾冊も読んで、ある土地に精通した人のようなものである。こういう人は報告すべき材料をいろいろ持ち合わせているが、その土地の様子についてはまとまった知識も、明瞭な基礎的知識もまったく欠いている。
これと対照的なのが生涯を思索に費やした人で、いわばその土地に旅した立場の人の立場にある。そういう人だけが問題の土地を真の意味で知り、その土地の事情についてもまとまった知識を持ち、実際、我が家にあるように精通しているのである。
引用:「読書について」
本を読んだだけの人と、実際に経験した人は違うということですね。
読まずにすます技術
ショーペンハウエルはこう言います。
「良書を読むための条件は、悪書を読まぬことである」
それには読まずにすます技術が重要で、その技術とは「流行本には手を出さないこと」。その類の出版物の寿命は1年である。
それならば、あらゆる時代、あらゆる国の高貴な天才が書いた、時代を超えて読み継がれているものを読め!」と言います。 それが良書を読むための、読まずにすます技術です。
まとめ
ショーペンハウエルがこの本で言っているのは「思想としての読書」のことだと思います。なので、普通に楽しむためだけに読書をするのなら、どんな読み方でもいいのでしょう。
ただ、読書を通して考えや学びを最大限に得たいなら参考にしてもらえればいいと思います。
★
本文で147ページと薄い本ですけど、さすが哲学者の本だけあって読み応えがあります。
ぜひ、読んで見てください。